おぼえがき

なにをかいわんや

より良く言語化したい

読書録です。

コンテンポラリーアートライティングの技術(ギルダ・ウイリアムズ)を読んだ。タイトルのとおり、本書はコンテンポラリーアートに関するテキストの具体的な書き方を紐解いている。実践的な方法論が満載で、読んでいると早速なにか書いてみたくなる。

 

具体的な方法論・実例満載の技法書

本書は用語や知識の解説書ではなく、どのような考え方で書くべきか、(テキストの目的に沿って)含まれるべき情報、どのような表現をすると読みやすく、または読みにくくなるか等を、実例を多数挙げながら懇切丁寧に記している。

随所でダメなテキストによくありがちな具体例を挙げており、非常にわかりやすい。一例としては、意味が相対する形容詞を複数付ける(「具体性を持ちながらも抽象的な」のような)のはわけがわからんしおまえ何も言ってないぞというような指摘に笑ってしまう。あるある…と何度も思いながら、それやっちゃう気持ちわかるしやってそう…とドキっとする。

また、美術に関する作家や作品、展覧会等について記述するための文章術であるため、情報としての正確さやわかりやすさだけではなく、追体験的になるよう臨場感を伝えたり、エモーションにきちんと刺さることにも重きを置いているのが面白い。

 

汎用性が高い

あらゆる文章を書くとき、話をするときに活用できるハウツーが満載で、読んでよかった〜と思う。

事実だけでなく、感覚的であったり抽象的で明確に伝えづらい内容をどうやって他者に伝えるか、美術分野に関わらず「身内」以外(その分野に関して専門外の人や、子供など)にどのように説明すれば伝わりやすいかが細かく解説してあるので、公私共に役立てられそう。キャー勉強になる!

仕事で訳のわからんテキストを読まされたり、自分がそれの新作を書いたりしなくてはいけない人は、本書を読むと、世の中から空虚な珍文を減らすことに一役買えそう。現職は楼閣が作れそうなくらいの量の、わかりにくくてジャーゴンまみれでクソ長いテキストが日々飛び交っている。可能な限りなんとかしていきたいと思っていたので、本書のハウツーを今年の仕事に生かしていきたい。

また、プライベートとしては、おたくは話がわけわからなくなりやすいので、おたくじゃない人に「いまはこれが好きなんだけど…」という話をするようなときにも使えると思います。変にマウントとっててきもいし知らんがなと即断されにくい話法も学べそう(こっちがわざわざ話さないようにしてても、水を向けられてなんか話さなくてはいけない時がある。なぜだ…)考えてること自体が変だったらちゃんと伝わってもどうしようもないんですけどね。

 

まとめ

作文だけでなく対話も含めて、なんやかんや言語化する機会が多い・言語化することで頭を整理するのが好きなので、それの手引きになってとてもよかったです。趣味として思うがままにに書き散らすことも好きだし良いけど、ちゃんと書きたいなー正しく伝えたいなーというときに、非常に役に立つ知識を得られたと思います。