おぼえがき

なにをかいわんや

ドラァグレースで推しを見つける遊びをしませんか

連休最中の平成最後の日、ルポールのドラァグレースのシーズン6を観た。文中で多少ネタバレします。

アドレ・デラノがSexy Beautiful 超カワイイ!キミに決めた!となってから早10日経ったが、見れば見るほどかわいくて、繰り返し動画を観たり、ネタバレを踏まないように気をつけながらインスタを漁ったりしている。新しい沼だ。美味しい新ジャンルだ。世の中にはカワイイ子が沢山いるもんだ。

 

 

沼はどこにでもある

前々から友人に「ルポール観て!①まずネトフリに入ります…」と、受け手のハードルを一切下げない雑勧誘を受けていた。月額が発生するし登録作業もめんどい。当然そんな手ぬるい勧められ方ではなかなか観ない。

(こういった点でジャニオタの勧誘力は異常なほど高い。多くの場合、突然現物を渡してくる。「みんなやってるよ、いい気分になれるよ、最初はタダでいいから」という使い古された文句とセットの狡猾な商売人のようである。)

勧誘を受け始めてから半年ほど経った先日、彼女の家に遊びに行った際、興奮気味に「今から1話だけ観いひん?」と言われ、そんなにおススメするなら少し観ようかね…と、おつきあいの気持ちで視聴したら、即どハマりした。ちょろさがひどい。

そのまま終電までぶっ通しで8話ほど見続けた。

クィーンは各々美しく有能な面がありつつ、超苦手なことがあったり性格に難があったりして個性的で観ていて面白い、番組自体のテンポが良く、クィーンに焦点が当たる体当たり企画しかないのでアイドル番組としてとても優秀。ドラァグカルチャーは馴染みがないのでそれを知るのも楽しい。超ゲスい下ネタだらけだが、根底として人間愛に溢れてるし知性も重視されているし、ジェンダーを弾き飛ばしてて明るいので笑える。スナックをつまみながら、口さがない友人たちとワーキャー言いながら観るのに適している番組すぎる。

シーズンの途中で帰宅したのだが、翌日ネトフリに加入し、その日のうちにシーズンの最後まで観た。オタクは可燃性が高いのだ。

 

 

誰を推せるかまじめに考える。

クィーン同士でパフォーマンスを競い、生き残りを争うという番組の構成的に、当然推しを決めた方が白熱して楽しめるな…と思い、額の第三の目(オタクのビジョン)を開眼しながら誰を推すか真剣に考えた。経緯をおぼえがきする。

 

1話から気になったのはラガンジャエストランジャ。顔面とファッションがイケてて身体能力が高いスレンダーなクィーン。男の姿もお洒落でイケてる。自分を愛しているところも良かったが、しばしば不安定な面を見せるので、常にハッピーな気持ちで観られないのが気がかり。しかし見た目はいつも良い。ラガンジャの細長い足は見ているだけでハッピー。

 

ミルクは目立っていた。ランウェイのコンセプトが強く、男の姿が超イケメンで観ていて楽しい。ユニークでクオリティ重視で頭が冴えてて素敵なのだが、「ひー顔とスタイルの良さを活かしててチート的に美しい!」と思う機会ももっと欲しかった。内面もまだまだ気になるクィーンで、もっと長く観ていたかった。最終話でバッチリ女性的に美しい姿でキメて来てたのは、色々な意味で胸熱だった。

 

コートニー・アクトはマジでクオリティが高くていつも自信満々。メンタルが強すぎで無神経になるのもおもろい。ジョスリンを悪気なくdisる様子は初見では「高飛車な部分が出てるのかな?」と思っていたが、2回観ると「コートニーは思ったことを思ったまま素直に言ってるだけなんだな〜〜メンタル強すぎて弱者の繊細な気持ちがマジでわからんのや…全然高飛車じゃなくてこれは素の感想なんや…」と思えてくる。でもマジでクオリティが高いから文句ない。途中から手越さんにしか見えなくなってきた。(手越さんは良い塩梅で人間味を見せてくれるが)天からの贈り物、人類の奇跡枠である。っょすぎて心配がない。

 

ベン・デラ・クリームは能力が高くて、化粧が上手くて上品で、変な格好をすることがない。頭が良くて芸も得意でスペックが高い。安定感とポピュラリティが優れているし、ユーモアも抜群。安心する。男の姿がヒャダインに似てる(個人的感想)。

 

ビアンカ・デル・リオはずば抜けて頭が良く、人も自分も客観視している。「誰でもdisる」「意地悪女」という自他共通の認識があったが、とても他人を良く見ているという印象が一貫してあった。的外れな悪口は言わないので、恣意的な意地悪をしている印象は全く覚えなかった。他人をよくよく見て、助け船にもなるような笑えるコメントを上手く発している。頭いいかよ。

自己憐憫やほんまもんの失笑ものの失敗は惨めったらしくて無様で悲しく見えることもある。しかし頭がいい人によるシニカルな状況整理は、言う側も言われる側も傷つけられるわけではないので、ビアンカが上手に茶々をいれると場が収まる。客観視の天才で見事なバランサーだなあと思う。

それでいて努力家である。「準備不足」「下手くそ」という評価を受けないように自分を育てる労を惜しまないし、時間制限の中で無駄な労力はしない(その上ガンバリズムに頼らない)。頭いいから努力することも上手い。人に見られる・評価されることに対して誠実に向き合ってるのも優しい。こんだけ頭良かったら懸案であった「殻を破る」をしなくても上手くいくやろ。なんにも心配がない。

気づいたら超文字数割いてビアンカを褒めたくったが、推しではない。推すとは複雑な感情なのだ。いやみんな好きなんだよ。基本的にシーズン6という箱で推してるよ。

 

 

fuckin’libra mermaid party Adore Delano

じゃあ、アドレはどこが良かったん?という本題ですが、アドレは私の「かわいい!」センサーにとにかく引っかかるのだ。

 

まず顔がかわいい。男の姿は一目瞭然な整ったイケメン!!!ではないが、表情豊かで勢いよく喋っている様子が気取ってなくてかわいい。目玉が飛び出そうに刮目してるところも、手振りが激しいところもかわいい。

メイクが眉毛釣りまくり!目も釣りまくり!で攻撃的なギャルメイク!厚い唇に真っ赤なリップ!!しょっちゅう口が開きっぱなしなのが強調されてる!!うわー!!口開いてるよ!!なんだ!!ってなるのがかわいい。かわいい。

当たり前にメイク上手いので造作でヤベー顔してる事はない。えらい。美しさ大事。でも口が開いてる。かわいい。

言葉遣いがめちゃくちゃなのもかわいい。現代っ子感。ギャルである。オ〜〜マイガ〜〜ファ〜ック!ファ〜ット?!ビ〜〜ッチ!アア〜〜^〜!パーティ!!である。アホの子やんかわいい……

 番組中で思い余ってメソメソしてしまうことも複数回あるのだが、本当はこんな風に弱い姿を見せるのは不本意だ!って感じなのが健気。推せる。

もっと上手くやって魅力を伝えたい、自分の召命がある、でもテクニックが無くて思うようにいかない、悔しい、でも頑張りたい!っていう強気な気持ちが見えてくる、ネガティブな涙ではないので重苦しくない。本当の実力的などん詰まりや周りの不理解への怒り悲しみ、無力感による涙ではなく、溢れる感情を制御しきれなくて思わず涙が流れる感じなのでアツい。推せる。

アドレは頭悪い!裁縫下手かよ!寸胴!と散々いじられるが、不服そうな仏頂面をせず、ヘラヘラして自分でウケてるのが推せる。あの子は分かってないわ、本当はもっとやれるのに、という反応をせずに「もうヤダ〜〜!」で済ませるのは明るくて、ファンを悲しませなくてかわいい。アイドル性高い。天真爛漫で見ていて安心する。アドレが他者評価で傷ついたり自信を失って悲しんでいる様子を見せない(本人的にそんなときもあったのかも知れないが)。カメラの前ではシリアスな同情を引くような振る舞いをしないのが良い。本質的にメンタル強い。価値観がポジティブ。

ルポールに色々なアドバイスをされても「せやな」という感じで聞き分ける。自分が若輩者であり、成長性がある、そして他にはない才能が確実にある、ということを理性的に解して、足りてない部分を素直に受け止めている。できないものはできない、という凝り固まった否定をせずに自分を育てるヒントとして受け取っているところも素直でかわいい。ビアンカに助けられたときは素直に感謝をして好意を寄せるところも素直でかわいい。そりゃ先輩からしたらめちゃかわいい後輩だと思う。育てたくなるよな。

リップシンクが上手い。スター性がある。脱落の危機があり、相当追い詰められているであろうリップシンク対決の場でも笑顔があるのはマジで素晴らしい。憑依型のパフォーマーだと思う。脱落の危機が続いてオドオドしてしまいそうな局面で身体性を発揮し、噛みつくような攻撃的な目つきや仕草をやってのけ、ニヤッと笑っていたアドレのパフォーマンスは最高にセクシーで良い女すぎる。ネコ科の猛獣だ。強い。健全な自信を感じる。

シーズン7のコメンテーターでも誰かをいたずらに刺激的にdisることなく、バカワイイコメントしかしてない。顔もかわいい。優しくて健やかな子なのがわかる。カワイイ!(逆にビアンカのスマートな全方位攻撃ができるクレバーさも健在でうれぴい)

私もfuckin libraなので天秤座を贔屓してるのでおんなじでうれぴい!

 

このようになんでも「かわいい!」に集約されてしまい、頭が悪くなる。

推したからかわいいのか、かわいいから推したのか、鶏と卵であるが。。

 

 

プロセスを整理

上記だけではお粗末なので、シーズン6を観ていく中で、どのような思考のプロセスで推しを決めていたかを振り返る。これはわりとどのアイドルでも共通している気がした。

 

①とにかくルックスファースト

まずは見た目が刺さる子を見つける。

かつて山田涼介さんが発言した「自分の好きな外見じゃないと中身を知ろうと思わない」に、完全に同意である。面食いなんや。

 

②グサッとくるパフォーマンス

個人的に刺さるものがひとつあれば良い。この姿を見るために推してるんやー!とグッとくるやつ。全部出来なくてもいい、100点じゃなくてもいい、刺さることが大事。むしろ苦手があるほうが応援しがいはある傾向。

 

③価値観、性格

見ていて共感、尊敬、エンパワメントされ、応援したい!と思う内面であるとともに、でかい地雷がないことも大事。

 

④かわいらしさがある

挙動や表情。お行儀のよさというより、わりと落ち着きがない子が好きな気がする。なにもしていないのに注目していたくなる要素。

 

 

どのアイドルを見るときも、①②が入り口で、③④が後からどんどんついてくる感じ。

 

 

推せるみのダイバーシティは平和

わたくしはアドレ・デラノがアブソリュートリーに推せると判断したが、一緒に観ていた友人(全員サブカルさんでメインジャンルは色々)と推し被りがなかった。価値観はそれぞれで多様性を守るべきなのだ。

一人はメンタルの強さとクオリティを誇るコートニーを推してる。ももクロのあーりんが好きな人である。パーフェクトなアイドル性を爽快だと評価する。

一人はビアンカ・デル・リオの知性を推している。ドルオタではない。他にはTKBを応援しまくっていた。センスの良い優しい人が好きなのだろう。

一人はバイベイシャスを推していた。彼女の目指す理想が女性的で美しいクィーンではなく、カルチャーの申し子であり、我が道タイプで実力を備えていたこと、ディレクションのヤバさを楽しんでいた。

 

このように断絶的に推しが被らなかった状況で「なんで推しになったの?」と尋ねると、それぞれのものの楽しみ方や価値観が分かって超面白い。他のジャンルでは推し被りをしていたのに今回は被らなかったりしたら同じ対象を推してたのに掬い取っていた魅力が違った、みたいな発見があるのも面白い。友人のことも分かってめちゃ楽しい。

同じものを同じようにわかり合って「いいよね〜!」ってやるのも楽しいし、「この子はここが良いんだよ〜!!」と客観性のない熱意の溢れるプレゼン合戦をしつつ、各々が「推しが一番かわいい!!!」と勝手に満足している状況は最高に平和である。

 

 

まとめ

アイドルジャンルだけではなく、なんらかのオタク適性がある人達で集まってルポールのドラァグレースを全員初見で見始めてそれぞれの推し観の違いを楽しむ遊びがしたい。

人の数だけ推しがいる。Party!