おぼえがき

なにをかいわんや

自ら招いたよくわからない時間

午前のみの出張仕事が終わり、昼から休みだったので日常的に行かないエリアの飲食店で昼食を摂ることにした。

ある古き良き感じの喫茶店が目に留まった。「営業中」の札が出ているが、店内では大学生の映画研究会と思しき人たちが店の面積8割を占拠して本格的な機材を持ち込み、15人ほどのキャストが席に詰めて絶賛撮影中。そのような中で、撮影と反対側の2テーブルを一般客のために空けて営業しているようだった。営業するなよ…

もともと趣味が悪いのと、折角普段来ないエリアなのでチェーン店で済ませるのは面白くない、地元に根付いている感じのお店で食事をしてみたいという気持ちから、まったくお呼びでない状況であることがわかっていながら興味本位で入店した。入店するなよ…

 

普通にランチをオーダーしたら、なんの注釈もなく通ったのでスマホをぽちぽちしながら過ごす。撮影班も何も干渉してこず、撮影の段取りをしたり、雑談をしながら過ごしている。
少しして、関係ないお客がもうひとり入ってきたので「おっ仲間だ」と思ったら映画の人々と挨拶をしていたので、知り合いの学生のようだった。なんだよ…

特に台詞のない雑談シーンの撮影が始まったが、音も一応収録してるっぽかったので、カメラが回っている間は音を立てないようにランチを食べた。私がひとり飯してるからいいけど、もし複数人で雑談しに来てたらどうするんだろう。

隣の客も知り合いは知り合いだが、撮影には関係ないようで、一人で大人しく過ごしてる。

 

撮影の合間に、隣の客がマッチでタバコに火をつけようとして、マッチの頭をへし折った。マッチの頭が飛んで私の足に当たったので、なんとなくそれを拾って渡してしまった。

いやマッチの頭拾われてもどうしようもないよね…と思うが、私は私でテンパっていたので反射的に拾ってしまった。「すいません」と笑顔で言われ、マッチの頭は受け取られた。

なんとなく、いるべきでない場所に居合わせている者同士で「なんで今私たちここにいるんでしょうね」と目と目で会話したような気がした。いや向こうは「この人近所の人なのかな…なんでわざわざここにいるんだろう…」と不審に思っていたかもしれない。


会計のタイミングが難しかった。撮影が一旦途切れたときに、ささっと会計をしたらお店の人に「すみませんね」と申し訳なさそうに言われたが、排他的なムードは無かった。レジに行くとき、撮影隊はサササッと素早く避けてくれて、礼儀正しく気を使ってくれて、まったく不遜な印象はなかった。かといって私も迷惑をかけているわけではない。店がやってるんだから。お互いにこうなることがわかっていて、気を遣い合ってる。なんだかおかしな時間だった。なぜ私はここにいたのだろう。わからん。

さようなら二度と会うこともないし、どんな作品を作っているのかもわからない撮影隊。

 

 

まとめ
いやなんで店営業してんねん!!!!!(そもそも店入んなや!!!!!)