おぼえがき

なにをかいわんや

記憶とは

「自分は割と記憶力がいいから、ちょっとしたことでも心が動いたらいつまでも忘れない」

と、堂々と言い切られたのは人生で初めてだった。しかも記憶力悪いと思っている相手から。

道に迷ったり、以前話したことを忘れていたり、同じことを何度も言う人なので、反応に困った。

というか本人が一年ほど前に「記憶力あんまよくない」と言ってたことも忘れてないですか…すげえよ…と思ったが、ここは悪し様に捉えずに、記憶について考えるきっかけにしてみよう。

 

点と線

かくいう私も、記憶についてはムラがひどいタイプで、よくよく覚えていることと、びっくりするほど覚えられないことの差がひどい。

オタクなので、自分の興味があることに関しての固有名詞やフレーズ、発言やエピソード、文章表現、発表年など、好きな人やものに関する発言や出来事に関しては映像も含めて記憶の引き出しからわりとスルッと出てくる。ただし表記などの正確性はやや弱い。フックがいっぱいあって、確認作業をしたら「あー合ってた、これこれ」みたいな精度だ。

機械の操作や料理に関してもあまり苦労しない。一度自身で試行錯誤してやったことを思い出すことは比較的得意だ。

高校生の時に日本史の勉強をしていたときは、テストの時に頭の中で教科書をめくりながら100年分くらいの経緯をいちいち思い出して解答していたのは結構変なことをしていたと思う。(一部分だけは思い出せないが経緯を追うと思い出せる)

体系的にとらえたり関連するものに紐付けるような、線的な記憶はよくできる。

 

しかし点的な暗記は破壊的に苦手で、歌詞を見ないで一曲唄えない(順番がおかしくなる)、理数教科の公式は全くダメ、郵便番号や住所、電話番号は自分のものでも一般的レベルよりかなりフワフワしてしまう。場所と最寄駅と経路はダメ。単独で意味合いを持たないことは本当に覚えられない。

人の顔と名前を認識することもとても苦手だ。人数が多いアイドルグループはよっぽど頑張らないと誰が誰だかすぐにわからなくなるし、職場の「井上さん」と「石川さん」を何年も呼び間違えたり、ブルース・リージャッキー・チェンをいつまで経っても間違えたりしてると不安になる。ついでに覚え違いを修正することも下手だ。

 

反芻

冒頭の人物は、失礼ながらあまり物覚え(インプット)が良いタイプではないと思っているのだが、とても昔のことを最近のことのように話したり、同じ話を何度もしたり、同じフレーズを繰り返して使うクセがある。記憶という観点で解釈をすると「反芻」することが多いと思える。

「心が動いたら」「いつまでも」がキーワードなのかも知れない。

ある意味記憶に捉われているアウトプットが多いとも言える?保存能力が高い?

 

ここで「覚える」と「憶える」の表現の差が気になったので調べてみた。

 

http://and-plus.net/mean-16/

 

憶えるはremenberに特化、覚えるはrememberに加えてlearn、memorize等も含まれるみたいな感覚でいいんですかね…

 

こうなると冒頭の人物は「憶」に特化されていると解釈が出来るのかな。

他人なので自分のことのように詳しく検分はできないが、色んなことを覚えるのではなく、記憶されたことが劣化しにくいという特質が「記憶力がいい」という表現になっているのか。

私が想像もつかない再現度で記憶を再生する力があるのかもしれない。

私の能力は100くらいの解像度でアレコレを保存しているけど、彼の中では1600くらいで大事なデータが保存されてるのかな…とか。彼の頭の中を覗いてみないとわからない。

 

 

まとめ

「うそおつ」で流してればいい話なんですが、あまりにも私と本人の認識に乖離があったので、無駄に考えてしまった。ただの邪推です。